「運動会で育まれるもの」
9月後半に入り、ようやく朝晩必ずつけていた冷房をオフのまま過ごす午前中も増えてきました。そして今月は、もうすぐ運動会ということもあり、子ども達の園庭での自主練にも気合いがみなぎってきています。
さて、運動会といえば、私たち大人はついつい運動だけのためにやっているように捉えてしまうのですが、子どもたちにとっては運動ばかりでなく、他の多くのことを吸収・発達させるとても良い機会となっています。先週の職員会議でも、子どもたちがお互いに教え合ったり、自ら苦手な種目に取り組んだりと、先生たちが「いちいち介入したくなる気持ちを少し我慢するだけで、とてもいい姿が見られている」という報告があり、微笑ましく思いました。
園では「大人からの号令に合わせて、皆で同じように動く」ことは、むしろ日常ではやらないようにしていますが(「自ら考えて動く」ことができるよう援助していくことを奨励)、子ども達はもちろん、皆で一緒に体操する、皆で演技することも大好きです。「1、2、3、4」と号令を自ら掛け合い、曲に合わせて行進している時や、皆で体操している時の表情を見ていると、横の人とずれないように綺麗に並んで動けること、皆で動きを合わせて踊れる、大きな声で一緒に歌えることなどに、とても満足しているように見えます。
マリア・モンテッソーリは、人間には自ら「秩序正しさを求める傾向性」というものを持っていると言っていますが、運動会の練習中にこんな子ども達の姿を見ると、本当にその通りだなと思わされます。
運動会の練習では、「前の人に合わせて真っ直ぐ並ぶ」、「リズム通りに動く」「号令に合わせて動く」などなど、秩序への傾向性を発揮できる機会がたくさんあり、子どもそれぞれの秩序へと向かう感覚を育ててくれます。もちろん、普段の室内の活動でも「ピッタリと角を合わせて折る」「教具を真っ直ぐに並べる」「使ったものは元の棚に片付ける」など、また別の秩序への傾向性を見せてくれています。ただ戸外では、大きく身体を動かしながら「全体の中での自分の動きに秩序をもたらす」ということを思う存分できるわけですから、年中そればかりではいけませんが、やはりこれも子ども達の秩序の傾向性にピッタリないい機会なのでしょうね。
運動会では、こんな視点からも見ていただくとまた新たな発見があるかもしれません。子ども達の演技、楽しみですね。
園長 大原青子より