「たてわり保育の良いところ」
中秋の名月や彼岸花に、秋の風物詩を感じるこの頃ですが、今年は運動会が出来なかったことには、残念な気持ちでいっぱいです。また、ソフトバンクも今年は残念な結果になりそうですが、強さを続けていくのも大変なことなのでしょう。
ただ、子どもの世界だけは調子の波があってはいけません。あっという間に過ぎ去るこの時間だけは、元気いっぱいで充実したものにしたいと、毎日目を配り続けています。
ところで、日本の園や学校では、年令別クラスが普通です。それに対し本園では、1才児と2才児、それに3・4・5才児の異年令たてわりクラスとなっています。そしてこのクラスが意外と大きな教育効果をあげていることは疑いもありませんので、その理由はなぜなのかを、いくつか考えてみました。
① クラスでは、何でもできるあこがれの大きなお兄さん、お姉さんといっしょです。またよくなついてくれる小さな弟や妹といっしょです。けんかやいじめもなく大きな家族ともいえる暖かい雰囲気が生まれてきます。友達の幅も、たて・よことどんどん広がっていきます。
② 年上の子は、何でも目の前でやってみせてくれます。また親切に教えてもくれます。まさに小さな先生がまわりにいっぱいいるようなもので、良いお手本となっています。
③ 子どもどうしの学び合いということは、園やクラスで永い間行われてきた保育内容を、伝え合うことができるということです。通常「保育の伝え合い」というのは、保育者のあいだでやることですが、これが子どもたちを通して実現していきます。
④ 年令に応じたさまざまなクラス内での活動をすることにより、先生にあまり頼ることなく、自分たちでクラス運営ができるようになってきます。教え教えられる内容の幅が広がって、クラス全体に目が向けられるようになってくるからです。
⑤ 特に言えるのが、5才児(年長児)の責任感と指導性が育ってくることです。何かにつけ頼りにされる存在であることは、自分の立場の重さを感じ、みんなの期待に応えようと努めるからでしょう。
人間社会は、たて・よこ・ななめと複雑にからみあっています。その中で生きていくことは、決して避けて通ることのできないものです。子どもの社会は小さなものですが、たてとよこの人間関係をたっぷりと経験していけば、自分の立ち位置や他人との距離の取り方を少しずつ学んでいくはずです。そして必ず、未来の人生に生かしてくれるはずだと、確信しています。
理事長 江口 浩三郎より