「お仕事は、子どもに何を感じさせてくれるのだろう」
この夏のあまりの日ざしの強さに、とうとう園庭にテントを張りました。秋風のさわやかさに、一日も早く出会いたいものですね。
コロナ騒ぎには何とか巻き込まれずに、子どもの世界は相変わらずですが、蝉の鳴き声が聞こえなくなったのは、いささかさびしい限りです。それでも、大して広くはない園内での「おもしろさがし」は、今日も続けられていくのでしょう。
ところで、子どもたちの毎日の生活の中心は「お仕事」です。主に、モンテッソーリ教育の教具・教材を扱う活動ですが、1年中黙々と取り組んでいます。その姿をただ見渡すのは簡単ですが、今回は子どもたちの内面的な感じ方を、私なりに考えてみました。
① お仕事の始まりは「自己選択」です。どの教具・教材に取り組むか、どんな時間配分で展開していくのかは、全てその子の意思にかかっています。必要な手助け以外、誰からも指示・強制されることはありません。すなわち、まわりからその子が信頼され敬意が払われているということです。
② 次にお仕事の内容は、やさしいものから難しいものへ、単純なものから複雑なものへと進んでいきます。また、具体物の世界から抽象の世界へと入っていきます。
子どもは、次から次へとあらわれる新しいものごとや、より広い知識の世界に挑戦し続けなければなりません。それも、主として自分だけの力でです。それだけに、ひとつの山、ひとつの壁を乗り越えたときの喜び、満足は大きいものがあるでしょう。そして、さらに次の課題へのチャレンジ精神が大きくふくらんでくるでしょう。
③ 以上述べたように、自分でひとりの人間と認められ尊重される雰囲気のなかで、自分の世界がどんどん広がり、成功感や達成感を味わっていけば、子どもは充分に満足し、精神的な安定感を増していきます。クラスの中や園庭で、つまらぬいさかいや争いごとが殆どないのがその証拠です。自分もひとりの人間として大切な存在であるが、友たちも同じように大切なものであることを実感しているからです。
モンテッソーリは、「平和は子どもの心の中から生まれてくる」と言っていますが、私も全く同感です。それは、ひとりひとりの子どもの表情・目の光の中に現れています。
さあ今日も、子どもたちの輝く笑顔をながめながら、私たちの心の中にも「平和を愛する気持」を育てていきましょう。
理事長 江口 浩三郎より