「みんなといっしょに生きていく」
早くも6月となり、夏がやってきました。おとなはいささかゲンナリですが、子どもにとっては思い切り汗をかき、水とたわむれる最高の季節です。いつも目の前にいながら住む世界が全くちがうとは、何と不思議なことでしょう。子どもの目に写るもの、気持ちに問いかけてくるものは、異次元のものかも知れませんね。元気よくにぎやかなショータイムみたいなもので、だからいつまでも見てあきのこないものではないでしょうか。
ところで、新学期になってこの時期になると、クラスの空気もなじみが出てきて、子どもたちはスイスイと泳ぐように動いています。また園庭では、ぶつかったり大声を出しながら、みんなの間をかけまわっています。これはまさにひとりででは出来ない、みんなといっしょにいるからこその現象です。
ヒトには群生本能があり、他人との共同生活のなかで生きていきます。そのためには、幼い頃から他人の中で良く生きるための方法を学ぶ必要があり、具体的には次のようなことが挙げられます。
○「他人と自分のちがいを知る」
人はどんなに沢山いても、自分と同じ人はいません。だから他人とつき合うことは、自分とのちがいを知ることになります。そして、同じでないから面白い。ちがっているから許してあげる。自分にはなく他人にあるものから、多くのことを学ぶことができる、などの利点があります。
○「他人との間(距離)の取り方を知る」
ちがう人間どうしが、生活空間や活動を共にする時は、お互いの間の取り方(距離のはかり方)が大切になってきます。そしてこれこそ、自分を取りまく多くの人たちとの経験によってしか学ぶことができません。失敗したりうまくいったり、泣いたり笑ったりして得たものこそ、生きていくための貴重な財産(知恵)として、自分のなかに蓄積されていくのです。
○「役割りの分担があることを知る」
ひとりひとりのちがいは、能力・才能にもあらわれます。だから、みんなといっしょに何かを成功させようと思ったら、その得意なところを知り出してもらう必要があります。自分を活かし他人を活かすための知恵が、また養われていくことでしょう。
集団生活でみんなといっしょに生活できる知恵を豊かに養ってきた人は、ひとりで生活したり活動することも自然とやっていけます。
なぜなら、いつでもどこでも自分の心の中にも、共に歩める人たちがいっぱいいることを知っているからです。人生でこんな心強いことはありませんが、これもみんな、幼い頃からの集団生活のおかげであるといえるでしょう。
理事長 江口 浩三郎より