「種を蒔く時期」
先週から続いていた寒さが少し回復し、春の日差しを垣間みるような暖かい日も出てきましたね。
さて、先週の保育参観はいかがでしたか?子ども達が穏やかに、それぞれの活動に集中して取り組んでいる姿を見ていただけたのではないでしょうか。「こんなに長く集中して活動できるとは思っていなかった」「こんなに何でも自立してやっている姿を初めて見た」など、家では見たことのない姿に驚いたという感想をたくさんいただきました。
さて、参観に来られた保護者の方から「うちの子はずっと同じことばかりやっている。他にも数などの色々な活動があるのに、ずっと同じことをしていてもったいない気がするが、それでいいのか?」という質問を受けました。私は「全く心配しないでください」と答えましたが、それはなぜでしょうか。マリア・モンテッソーリは、0歳から24歳までの発達を6年ごとの4段階に分け、その第一段階は、その後の人生で長く使うための「ツールを獲得していく時期」だと述べています。例えば「言語(話す・読む・書く)」例えば「手の運動(しなやかに手首を動かす・3本の指で持つ)」など、子ども達は、0歳から6歳までという人生最初の6年間で、その後の人生で学び続けるためのたくさんのツールを獲得しているわけです。
特に、知的好奇心が湧き上がる3歳〜6歳ごろからは、自分がコレ!と選んだ材料で、自ら考え、手を動かし、分類し、調べ…と、「学び方を学ぶ」時期が訪れます。そしてこの学び方を学ぶにあたっては、材料・テーマは何でも構わないのです。心配にはなるでしょうが、今は、とにかく、何でもその子どもの興味のある主題で、お腹いっぱい活動してもらいましょう。たった一つの材料であっても、深く集中して取り組んだ活動から得た学び方やツールは、必ずやこの先長くに渡って学ぶことを本当に楽しめるのに役立ってくれます。
そして、そんな段階の子ども達に私たち大人のできることは、たくさんの「種を蒔く」こと。それぞれの子どもの興味・必要性に応じた環境を用意したくさんの材料を提供することです。ただし、いつどこでどんな風に芽が出るかは、誰にもわかりません。また、それを大人の意思で操作することは決してしてはいけないことなのです。今はとにかく、いつの日か、どんな芽が出てどんな花を咲かせてくれるかを楽しみに、せっせと種蒔きに精を出しましょう。
園長 大原 青子より