「従順性」が育つ3つの段階
あっという間に7月です。雨が心配だったプール開きの儀式も無事に終わり、子ども達も久しぶりのプール遊びに大喜びでしたね。
さて今月は、子どもの発達の中でも特に「従順性」の発達についてお話ししたいと思います。従順性とは、ルールや決まりを守れる、大人の教えに従うことができる、というようなことですが、この従順性の発達の段階を知ると、子どもへの接し方は格段に変わります。
従順性が育つ時期は、次の三段階に分かれます。
① 1段階目(1〜2歳ごろ)衝動>抑制力 ➡ まだまだ衝動の方が抑制力に優っている時期で、何度同じことを言われてもまた同じことを繰り返す時期。例えば1・2歳児クラスに移行したばかりの1歳半までくらいの子ども達、使った道具のお片付けは「片付けようね〜」と言われてもほったらかして次の活動へ向かうのが常です。それでもやっていい事とダメな事は的確に伝えながら、焦らず、まだまだ先のできるようになる時を忍耐を持って待ちましょう。
②2段階目(2〜4歳ごろ)衝動=抑制力 ➡ ルールを守れる時と守れない時があるので、大人をイライラさせることが多い時期。守れない時には「できるのになんでやらないの!」と思いますが、実はまだまだ抑制力の脳回路の完成にはほど遠い段階。それでも、少しずつは確実に守れるようになっていきますので安心してください。先月聞いた話では、ある4歳の子が園で、家から持ってきた幼虫を友達にあげてしまい、先生から「園ではあげたりもらったりしたらダメよ」というルールを伝えられました。その後、今度はそのお友達がお礼にこっそり持ってきたおもちゃをあげると言われた際に「もらったりしたらダメなんだよ」とそのおもちゃを受け取らなかったそうです。結局はおもちゃが先生に見つかり、この事の真相は明らかになったのですが…3・4歳の子ども達が少しずつですが、ルールを意識し始めていることがわかりますね。
③ 3段階目(5〜6歳ごろ)衝動<抑制力 ➡ やっていいことと悪いことをはっきりと理解する時期。この最終段階の子ども達は、ルールはほぼ守れるし、しっかりと時間も守って行動し、お友達にも「廊下は走ったらダメよ!」などと注意できるほどです。「横断歩道では手を上げて!」などと子どもから注意を受けるようになったら、従順性もしっかり育ったなと安心してください。 幼児クラスの担任によると、5歳児達は給食時の配膳台の前に並ぶ際、自分の同年代の子には「ちゃんと並んで」と注意しますが、2歳児さん達には「入っていいよ〜」と横入りをあえて許してあげるそうです。ですからその後は、ルールを守れるどころか、それぞれの年齢に合わせた配慮までする余裕を見せてくれるようになるんですね。
結局のところ、それぞれの発達段階における姿をよく理解している人は、自然と良い援助ができる人だと思います。私たちも、頭ごなしに怒ったり、イライラしたりせず、それでもルールはしっかりと伝えながら、今はこのくらいの段階なんだからと、子ども達のその時々の発達に合わせた接し方や声かけを心がけてみましょう。 (園長より)