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「愛された子どもは、他人を愛するようになる」

日曜の朝園庭に行きふと目をあげると、赤く染まったもみじの葉が私を見おろしていました。いつもは、けやきや楠や藤の葉の茂りのかげで忘れられているのに、今こそとばかりに自己主張をしています。やはりいのちのあるものは、いつか輝くときがくるものですね。そのためには、光をあたえ土を耕し水をさしてあげましょう。青い葉っぱの時も目を向けていきましょう。もみじは、必ずそのことを覚えていてくれるはずです。

ところで、人間の持つ数少ない本能のひとつに「群生本能」があります。文字どおり群れて生きることですから、他の人と交じり接しながら生活することを望む本能です。そして他人との接し方が楽しく・明るく・希望の持てるものだったら、それがそのままその人の人生に反映され、大きな喜びと豊かさをもたらしてくれます。

ここで言う愛された子どもとは、どんな子どもなんでしょう。

もちろん子どもは小さくて可愛い存在ですから、慈愛の心で愛されます。しかしそれだけではまだ充分ではなく、その子どもをひとり前の人間としての人格を認め、自由意思を尊重してやらねばなりません。自分の存在が誰からも認められ、自分の思いどおりの活動が許されると感じる時、子どもの喜びは大きく、この世に生まれてきたことに感謝したい気持ちになることでしょう。

この気持ちは、当然周りの人たちへ反映されます。自分のことだけではなく、他人の存在を大切に思うようになります。心が広くなり他人を許す寛容な気持ち。自己主張を控え、他人のことばに従順に耳を傾ける姿勢。自分も自由だが他人の自由も尊重する態度。それが全てうまくかみ合った時、自分と他人との間に、良好な人間関係の秩序が生じてくるのです。

他人を愛することによって良い人間関係が生れることを知った子どもには、素晴らしい結果が待っています。人は他人から学んで成長すると言いますが、多くの友人・仲間の人間性から学び吸収できることは貴重なものです。新しい情報も沢山入ります。楽しいつき合いもいっぱいあります。また困った時は本気で助けてくれます。

幼い頃に充分な愛を受けた子どもの未来は、こんなに素晴らしいものです。私たちも今、このイメージづくりに励みましょう。そして思いつく限りの愛を注ぐことに力をつくしましょう。

理事長 江口 浩三郎より

「子どもは、自分で環境を選べない」

運動会やいも掘り遠足と、秋のさわやかさを楽しんでいるうちに、頭の上ではけやきの葉が色づきはじめました。寒い季節に、暖かい日の光をたっぷりと浴びせる準備をしているのでしょう。

園庭では、早くもオレンジ組黄色組が体育サーキットの準備です。いつか自分の番が来るまでに、何百回、何千回繰り返すことになるはずです。手のひらのまめをものともせず、ニコニコ笑いながら続けていくのには、感心させられますね。

そろそろ来年度の保育所入所申請の時期ですが、これはとりもなおさず、親による子どものための環境選びです。子どもには残念ながら、自分の人格育成のための環境選びの能力はまだありません。だから、保護者が責任を持って選ぶことになります。

選ぶ基準には、保護者の子どもの成長に対する想いが込められます。「心身ともに健康でたくましく」「自由にのびのびと自分の思いどおりに生きる」「友だちを沢山つくって良い人間関係をつくる」「他人への思いやりの気持ちを持って、広く社会に貢献する」等などです。

こんな想いが込められ、保護者から選ばれて入園してきた子どもたちのために、保育園は全責任をもって応える必要があります。

〇 まず、けがや病気を防ぐために環境設備の安全性に配慮し、また毎日園で口に入れる食べ物の、研究・注意を怠るわけにはいきません。

〇 次に、子どもの自由意思を尊重し、自己選択が中心となる生活のなかに置きます。自分のやりたい時にやりたいもの、その結果も全て自分のものという毎日は、どれだけ子どもの精神をたくましくしてくれることでしょう。

〇 また、自分の思いどおりに動ける筋肉を作るためのチャレンジ精神は、たくましい体づくりへと進んでいきます。

〇 幅広い人間関係づくりには、「たてわり保育」が最適です。水色から緑まで4色が入り交じった人間関係が、絶対に悪いはずがありません。

〇 自分の自由な意思が尊重され、ひとり前の人間として認められていると、平和でおだやかな気持が生まれ、他人への寛容、奉仕の精神が芽生えます。成長したのちには、周りから大きな心を持った人として尊敬されるでしょう。

そのうちに、子どもは環境を自分で選ぶようになります。その時に、保護者やまわりの大人が準備してくれた環境が、自分で選ぶ時の大きな手助けになってくれます。子どものためにどんな環境を選ぶかが、子育ての大きなポイントと言えるでしょうね。

理事長 江口 浩三郎より

「楽しくなくては保育園ではない」

ようやく暑さもやわらぎ、秋の気配がただよってきました。毎日、一生懸命運動会の練習に取り組んでいる子どもたちのためにも、この涼しさは何よりです。

しかしこの夏は、スポーツでも熱くなりました。アジア大会・テニス・バドミントンなどでの若い選手の態度は、感動でいっぱいです。以前の、外国に行ったらひ弱になるという姿はどこにもありません。たくましく伸びて行く、日本の未来を感じさせられています。

ところで私たちは毎日、笑顔いっぱいで遊んだり、おだやかな表情でお仕事をしている子どもたちを見ていますが、それが表面だけでなく、心からのものであることを念じています。というのも、まだ人生のスタート台に立ったばかりで、置かれている立場がよく理解できず、「そもそも、なぜ自分は保育園という所にいるのだろう?」と思うかも知れません。暖かい家庭や家族と別れて、沢山の見知らぬ子どもたちの中に投げ込まれれば、気持ちが乱れるのも仕方ありません。その乱れをなくし、少しずつ気持ちを開かせながら、「いっぱい遊べる」「いっぱい学べる」「自分がどんどん大きくなっているのがわかる」、そして「保育園というのは楽しい所だ」と感じてもらいたいのです。

最初はどの子も手さぐりです。手さぐりしながら、ひとつずつ扉を開けていきます。しかしながら、扉の光が暗かったりどんよりしてたり汚れまくっていたら、とても一歩足を入れることはしないでしょう。しかし、決してそうはさせません。というのも、扉の先で待っている私たちはみんな、「子どもはえらい」「尊敬する」「勉強になる」という気持ちを持っているからです。そして「この子たちに最も良いものを準備してあげよう」と思っています。知性、情操、意思がバランスよく発展していくように、身体的能力が順調に伸びていくように、みんな仲よしの社会性がしっかりと身につくようにと、いつも考え実行しています。子どもたちからの信頼感・期待感がどんなものかは、笑顔や表情で判断します。だからいつも子どもの顔色が気になるのです。

「楽しくなければ人生ではない」と言いますが、同じように「楽しくなければ保育園ではありません」。園児の成長に全責任を負っている私たちですが、子どもたちの輪の中に入って、自分も楽しみながら責任を果たしていきたいと思っています。

理事長 江口 浩三郎より

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