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「子どもを導く教具の系統性(道すじ)」


やっと落ち着いてきたと思ったら、またまたオミクロン株です。全国で数百の保育園が休園しているようですが、本園もそうならないように、充分気をつけていきましょう。

1月から、ホールで6才児コーナーが始まりましたが、誕生後ほんの6年しかならないこの子どもたちの成長ぶりには、言葉もありません。ただ、これまでの毎日の積み重ねが、真剣だったからこそという実感はあります。人生のしっかりとした土台を築くというのは、こういうことなのでしょうね。

ところで、モンテッソーリ教育でのクラス現場には、いろいろな分野の教具が整然と準備され、子どもたちを待っています。初めての時は何から手を付けていいかわからないでしょうが、必ずやりたいものは見つかるし、また先生が導いてくれます。始めは取りあつかいがやさしいもの、実際に手に取ったり目を見たりできる具体的なものからスタートし、少しずつ難しくなったり、実際に目の前にないものや、頭の中で考えなければならない方に進んでいくのです。

それでは、各分野での教具の道すじ(これを系統性と言っています)を紹介しましょう。

①「日常生活の練習」…スタートは、「水注ぎ」「はさみ切り」「布の折りたたみ」「植物の世話」など、どの子もすぐ手がつけれるものから始まります。それから「クッキング」「ボタンつけ」「洗濯」「アイロンかけ」と進みます。4才後半からは、より難しい「クッキング」「刺しゅう」「お茶の入れ方」「室内の掃除」等へ進んでいきます。

②「感覚教育」…3才前半は、「円柱さし」「ピンクタワー」「長さの棒」「色板ⅠⅡ」から始まり、後半になると、「色つき円柱」「幾何たんす」「雑音筒」「味覚びん」等を経験します。さらに4才になれば、「構成三角形」「色つき円柱Ⅱ」「重量板」「幾何たんすⅡ」等、結構難しいものになっていきます。

③「数教育」…「算数棒」とか「数字カード」「色ビーズ並べ」から数の世界に入っていき、「10進法」「銀行ゲーム」「1000の鎖」と進みます。そして「加減乗除」「暗算版」を理解し、数を抽象的にとらえるようになっていきます。

④「言語教育」…話しことばの「絵カード」や「ことばあそび」から始まり、「文字や単語ならべ」「なぞり文字」へと進み、最後は短い文章を書いたり文法的な理解も深めていきます。

⑤「文化教育」…4才になり知的能力が高まり知的欲求が深まってくると、社会や環境に対する興味を満足させなければなりません。「地球の紹介」から始まって、動植物、地図、宇宙、恐竜、時間、動物の進化等、幅広い分野にわたって展開されていきます。

このように、教具の系統性をたどるなかで、子どもには、筋みちをたてて考えを進めていく「論理的思考能力」や、目には見えないもの、直接さわることのできないものに思いをめぐらせる「抽象的思考能力」が養われていきます。このことが、永い人生を生きていくうえでどれ程役に立つかは、言うまでもないことでしょう。

理事長 江口 浩三郎より

「ひたむきに歩き続ける子どもたち」


明けましておめでとうございます。
昨年、一昨年と、世界中がコロナウィルスへの対応で神経をすり減らしましたが、今年こそは収束してくれることを、心より願うばかりです。よく「コロナ後の世界」という言葉を耳にしますが、子どもたちの世界には前も後ろもありません。新しい年になっても、どんなことにも全身でぶつかっていくことでしょう。そんな子どもたちとまたいっしょに過ごせるのが、私の最大の喜びです。
ところで、1年たったあとのおとなと子どもの違いは何かというと、身長、体重、頭の大きさの変化です。おとなは殆ど変わりはありませんが、子どもは年令ごとにグンと成長し、だからいつも制服や帽子や靴を合わせる必要があるのです。しかしここで大事なことは、見た目のちがいではなく内面(成長)の変化です。それも、8才頃までに人格の9割を創りあげてしまうという程の変化です。そのための歩みを止めたりゆるめたりするのは、子どもに対するおとなの犯罪とも言えるものです。そこで、順調な歩みを促すためのポイントを、いくつか考えてみました。

① 子どもの毎日は、「もっと上手になりたい」「もっと多くのことを知りたい」「面白いことをいつまでも続けたい」といった意欲に満ちあふれています。だから、全ての子どもを満足させられるような環境を、準備しなければなりません。征服従順能力への絶え間ない刺激を、与え続けてやるということです。
② 同時に、子どもの暮らす環境には、はっきりとわかりやすい秩序が組み込まれていなければなりません。「何をどうすればいいのか」「どんなことをしたらいけないのか」「この活動のルールはどうなっているのか」等に、自分で気づいていくためのものです。多くの人といっしょに過ごす社会生活は、複雑でややこしくなる時もあるでしょうが、子どもの頃に身につけた秩序感は、ハードルをうまく乗り越えて進み続けるのに、必ず役立ってくれるはずです。
③ もうひとつ大事なポイントは、気づかずに子どもの歩みを止めたり邪魔をしたりしているおとなの態度です。子どもはまだ幼く、「何も知らない」「何もできない」と思って、つい「手出し」「口出し」したくなるものですが、それがオーバーになる危険性には充分気をつけておきましょう。子どもは決して、おとなのあやつり人形ではないのですから。
新しい年を迎えた子どもたちは、今年もひたすらに歩き続けます。時にはひとりで、また時には友だちと手をつなぎはしゃぎあいながら、前に進んでいきます。そしてうすい皮をはぐようにして、また新しい成長した姿を見せてくれるのです。私たちは道ばたに立って、手を振って応援してやりましょう。その後ろ姿を、温かい目で追い続けていきましょう。

理事長 江口 浩三郎より

「心地よい自分の居場所はどこだろう」

冬の間、子どもたちに良く陽が当たるようにと、けやきの葉っぱがどんどん散ってしまいました。「長い間、日かげをありがとう」と言っておきます。

この1年、コロナに振り回された感じですが、幸いなことに、子どもたちの生活は順調に過ぎていきました。ご家庭のご協力にも、心より感謝しております。このまま、なんとか収まってくれればいいですね。

ところで、長い人生とは、自分の心地良い居場所をさがし求める旅と言っても、必ずしも間違いはないでしょう。幸いにも良い居場所を見つけた人は、そこをベースにして更に自分の成長を求めていくでしょうし、まだ定まらない人は、自分の努力と他人の助力によって、居場所を発見するはずです。このことは、幼児期の経験が大きくものをいってきますが、具体的にはどんなものかを、いくつか考えてみましょう。

① まず第一に、子どもが一番長く過ごすクラスに準備されている環境が、「敏感期」を満足させるものであるということです。子どもが幼いころ、次々とやってくる敏感期をどう過ごすかは、「神が与えた宿題」であるとモンテッソーリは言っています。そのためにも、毎日のお仕事の内容は、「運動」「感覚」「言語」「算数」「文化」等の敏感期に、充分に対応できることにより、子どもは何の抵抗もなく活動を続けることになり、クラスでの自分の居場所を見出していくことになるのです。

② 次は、保護者や先生との関係です。先月は「ニコニコ笑顔で」と書きましたが、さらにもう一歩進んで、子どもに「自己決定」「自己選択」という自由な活動を認めてやるかどうかです。このことによって、子どもはひとり前の人間として認められていると感じ、自分の存在価値の高さを知り、大きな幸福感を味わいます。まさに心地良い居場所をみつけたという思いにかられるわけです。

③ 次は、友だちや仲間との関係における居場所の見つけ方ですが、これは毎日多くの子どもに接しもまれ続けるなかで、自分で見つけていくしか方法はありません。体格や性格、能力や興味、性別や年令など、自分と異なる多くの友だちと接し続けるなかで、学び続け経験を重ねていけば、必ず自分の居場所を見つけ出すことができるはずです。

居場所の確保は、「探究心を持つこと」や「秩序を求めること」と並んで、人が誰でもそうありたいと願う「人間の傾向性」のひとつです。いつも、必ずしもはっきりと定まっていない目標や能力の発揮について、自分を見失わないためのの重要な手がかりとなるからです。だから私たちおとなも、毎日じっくりと子どもの話に耳を傾けて、居場所がみつかるようなアドバイスをしてあげましょう。

理事長 江口 浩三郎より

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