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「やってみせる、見て学ぶ」

異常な長雨で、室見川の水位の上昇には少なからずヒヤヒヤさせられましたが、無事に過ぎ去りホッとしています。時期はずれの長雨からも、気象状況の変化が感じられますね。
しばらく続いていたセミ捕りへの熱狂も過ぎ去り、プールともそろそろお別れです。それでも四季折々、子どもたちの活発な活動がとまることがありません。それに応じて、うすい皮をはぐように、成長の足音が止まることがありません。この秋に見せてくれるさまざまな姿を、また楽しみにしていきましょう。
ところで、子どもは自分の身の回りの環境に接し、そこから様々なことを学びながら成長していきます。しかし、まだ幼い子どもにとって、その環境が自分の成長にとってどんな意味があるのかも知らないし、また、どんな方法ややり方で、その環境を利用していいのかも知りません。だからモンテッソーリは、「教えなさい、教えなさい。良いものを教えるのにちゅうちょすることはありません」と言っています。そして教えるやり方として、まだ理解能力が不足している子どもたちには、「実際に子どもの目の前でやってみせ、それを見て学ばせなさい」と言っています。
それでは子どもたちに、どんな内容の活動を見せてあげたらよいのでしょう。
① まず第一は、何といってもクラス環境の主役である「モンテッソーリ教具」の扱い方です。子どもが自分の目でしっかり捕えられるように、また少しでも頭で理解できるように、「動作を細かく分けて」「ゆっくりと」「正確に」「精密に」行います。子どもが自分でできるようになるまで、繰り返して行います。マンツーマンが基本ですが、時にはグループでやることもあります。
② 次は、園内での生活活動に関する提示です。子どもはまる一日園内で過ごしますから、家庭と同じように沢山の生活活動があります。たとえば、「掃除の仕方」「衣服の整理」「給食や昼寝の準備」「本棚の整理」「遊具や靴箱の整理」「ドアの開閉やイスの出し入れ」等です。自由な生活のなかでも規律のある秩序を守るために、全ての子どもができるようになるまで、根気よく導いていきます。
③ 次は、人間としての正しい振る舞いを、先生自身がモデルとなって見せていくことです。「話し方や話の内容」「表情」「歩く姿勢」「他人との接し方」「服装や化粧」等です。子ども達の目は鋭く細かいところまで良く観察し、また真似をしようとします。先生としては全く気が抜けないことですが、モデルである以上仕方ありません。
子どもが子どもである期間は短いものであり、その間にものすごいスピードで成長していきます。そしてその成長の内容が、永い人生に大きな影響を与え続けます。それだけに、どんな環境の中に置くか、何をどう見せていくかは、私たちおとなの大きな責任と義務なのです。またそれが保育のやり甲斐とも言えるものですから、楽しみながら多くのものを見せ続けていきましょう。

理事長 江口 浩三郎より

「子どもと接する先生の心がまえ」

蝉捕りの白い網が園庭をかけめぐる夏の風物詩が、今年も再現されていますが、蝉の鳴き声に負けないプールからの歓声も、暑さを吹きとばしてくれます。また、オリンピックでの日本選手の活躍も大したものです。「後生おそるべし」という古いことばがありますが、日本の若い選手の真面目な頑張りには、本当に頭が下がる思いです。子どもたちのなかにみなぎるチャレンジ精神が、この頑張りを引き継いでいくのでしょう。
ところで、モンテッソーリクラスで子どもたちと接する先生は、いわゆる「教える人」ではなく、「子どもの持っている能力を導き出す人」とされています。子どもの自発性に基づく活動を、尊重していくという立場からすれば当然のことです。モンテッソーリは、この立場の真価が充分に発揮されるための資質をいくつか挙げていますので、紹介しましょう。

① 「愛情」…普通、小さく幼いものをかわいがり、いつくしみたいと思うのは当然です。しかしそれだけにとどまらず、「人間」という存在に添い興味を持つことを求めています。というのも、そこから子どもに対する冷静で客観的な立場と鋭い観察力が生まれてくるからです。

② 「信頼」…子どもは全て、成長のために準備された良い環境におけば、必ず自分の持って生まれた良い姿を見せてくれることを信じることです。さらに又、子どもには自分の成長に必要なことを選択していく能力があることを信じてやることです。

③ 「忍耐」…自分の気持をおさえて、子どもの自発的意思が出てくるのを待ったり、ひとりひとり異なる生活リズムを尊重してやることです。まだ幼い子どもには、つい口や手を出したくなるものですが、それを抑えることの大切さを求めています。

④ 「謙虚」…年令はずっと上だけれども、まだまだ未熟であり、子どもたちの姿から多くのことを学ばせてもらいたいという気持ちを持つことです。いわゆる「上から目線」ではなく、子どもと同じ目線で付き合っていくのが、大切であることを求められているのです。

以上4つの項目をあげてみましたが、身につけていくのは容易ではありません。しかしそうありたいと努力すればする程、ひとりの人間と奥が深く幅が広がっていくのは事実です。子どもはそんな先生のふところに喜んで飛び込んでくるでしょう。
子どもからすれば、たとえまだ幼くても、ひとりの人間として認められ接してもらっていると感じます。自分の存在と価値が正しく認められている環境ほど、居心地のいいものはありません。人生における貴重な社会生活の土台である、人間どうしの信頼関係を子どもの中に植えつけていくためにも、良識あるモンテッソーリ教師の完成への道を、歩み続けていかなければと考えています。

理事長 江口 浩三郎より

「早いうちに変えていこうー正常化への道」

梅雨入りとはいえ、まだ大した雨は降っていませんが、決して油断は禁もつです。コロナも、感染者数がかなり減少してきましたが、このままなんとか落ち着いてもらいたいものです。
子どもたちの活動は、暑さが増してきても変わりません。うまい具合に虫を見つけては、自慢げに見せてくれます。そしてプールも始まります。毎日、にぎやかな歓声を耳にするのが、何とも言えず楽しみです。
ところで、子どもは皆誰でも、素晴らしい素質を持って生まれてきます。たとえば、「自発性がある」「思いやりの心がある」「明るい性格である」「安定感があり協調性を持っている」「従順な気持でルールをよく守る」等々です。ところが、幼い時の何かマイナス面がある環境の影響で、良い素質が影をひそめ、代わりに、「無気力である」「乱雑で騒々しい」「気持ちが不安定である」「うそを言う」「不安感を持っている」等が表に現れてくることがあります。
しかし心配はいりません。子どもの人格はまだ固定せず柔軟性がありますので、できるだけ早い段階で適切に対応していけば、グングンと変わっていくのを私たちは経験上よく知っています。
具体的な対応の仕方は次のとおりです。
①敏感期に対応できるモンテッソーリ教具や教材が準備された環境に、子どもを置いてやる。そのためには、準備するおとなの、子ども
の成長に対する理解力や観察眼が欠かせません。
②子どもが、自分の意思で教具や教材を選んでいけるような雰囲気を作ってやる。これを「自由活動保証の原則」と言います。
③子どもは誰の指図も受けずに、また活動時間や活動場所も制限されずに「お仕事」に取り組み、何度も繰り返して続けていきます。こ         の「繰り返し動作」は子どもの大きな特徴でもありますので、心ゆくまでやらせてあげます。
④繰り返すうちに子どもはどんどんはまりこみ、「注意集中現象」の状態になります。まさにこの瞬間がポイントで、子どもの中に何かの変
化のきざしが芽生えてくるのです。
⑤集中してお仕事に取り組み内容を完成させた時、子どもは大きな「満足感」や「達成感」を味わいます。そして、スーと心がおだやかさ         で満ちる時でもあります。

モンテッソーリは、この順序を「正常化への道」と名づけました。そして、子どもの性格に良い効果を及ぼすのに唯一の道だと断言しています。私も長い経験からその通りだと思いますし、園の先生も疑いもなく信じています。
さあ今日も、子どもたちにこの道を通らせてあげましょう。応援と期待の心を込めながら。

理事長 江口 浩三郎より

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