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「巣立っていく子どもたちが育ててきたもの」

ここ数日冷たい風が吹いていますが、間もなく春の暖かい風に変わることでしょう。それにしても、北国の雪とのたたかいは大変なことですね。

園では、「こままわし大会」や「なわとび大会」など、毎日の練習の成果の見せ場が続いています。この1年間、子どもたちみんなが、いつも何かに夢中になってきたことのあらわれでしょう。あらためて、この子たちへの敬いの気持ちでいっぱいのこの頃です。

ところでみどり組さん64名は、この3月をもって新しい所へ巣立っていきます。毎日当たり前みたいに、登園・降園を繰り返してきましたが、その時間の内容がなんと濃ゆいものであったことでしょう。その中で、子どもたちはどんなものを育ててきたのか、いくつか思い浮かべながら紹介していきたいと思います。

① 自主・自立の精神…園での生活は、先生の指図・指導は最小限で、子ども自身の意思に基づく行動が優先されます。だからいつも、自分が今何をしなければならないのかを考え続けなければなりません。まさに「生活の主人公」としての毎日で、そこから「自主」「自立」「主体性」といった気持ちが生まれるのは当然のことでしょう。

② 自信…子どもの能力・体力は、毎日増加し続けていきます。そこでは当然、目の前の環境も変化していきます。言いかえれば、今まで出来なかったこと、やったことがないものにも取り組まなければならなくなります。しかしそこで見せるのは、呆れるほどの粘り強さです。出来るまで集中し続けます。そして目標達成後の、自信と誇りに満ちた顔の何と素晴らしいものでしょう。

③ 論理的・抽象的考え方…子どもは少しずつ、文字や数字という「記号(マーク)」の取り扱いにも慣れてきました。また文化教材を通じて、手で触ることのできないもの、目の前にないものについても理解が及ぶようになってきました。その効果として、順序を追い筋道を立てて考えることや、想像力を働かせ、創造性に充ちた活動を発見し、実行できるようになってきています。

④ 社会性や協調性のある生活能力…毎日、多くの友だち(自分とちがった人)に囲まれ過ごすうちに、そのひとりひとりと、どんな付き合い方をしたら仲よくやれるのかを学んでいきます。人との出会い・つき合いが全てといわれるほどの人生ですが、園での生活は、そのトレーニングの場としては最適です。

以上いくつかのポイントを述べてきましたが、そのすべては、いかに自分を大切にし、自分の人生は自分のものであるかを実行していくためのものです。そのための土台はもう固まっています。私の卒園児を見る目の信頼感は、まさにそこにあるのです。

理事長 江口 浩三郎より

 

「子どもを導く教具の系統性(道すじ)」


やっと落ち着いてきたと思ったら、またまたオミクロン株です。全国で数百の保育園が休園しているようですが、本園もそうならないように、充分気をつけていきましょう。

1月から、ホールで6才児コーナーが始まりましたが、誕生後ほんの6年しかならないこの子どもたちの成長ぶりには、言葉もありません。ただ、これまでの毎日の積み重ねが、真剣だったからこそという実感はあります。人生のしっかりとした土台を築くというのは、こういうことなのでしょうね。

ところで、モンテッソーリ教育でのクラス現場には、いろいろな分野の教具が整然と準備され、子どもたちを待っています。初めての時は何から手を付けていいかわからないでしょうが、必ずやりたいものは見つかるし、また先生が導いてくれます。始めは取りあつかいがやさしいもの、実際に手に取ったり目を見たりできる具体的なものからスタートし、少しずつ難しくなったり、実際に目の前にないものや、頭の中で考えなければならない方に進んでいくのです。

それでは、各分野での教具の道すじ(これを系統性と言っています)を紹介しましょう。

①「日常生活の練習」…スタートは、「水注ぎ」「はさみ切り」「布の折りたたみ」「植物の世話」など、どの子もすぐ手がつけれるものから始まります。それから「クッキング」「ボタンつけ」「洗濯」「アイロンかけ」と進みます。4才後半からは、より難しい「クッキング」「刺しゅう」「お茶の入れ方」「室内の掃除」等へ進んでいきます。

②「感覚教育」…3才前半は、「円柱さし」「ピンクタワー」「長さの棒」「色板ⅠⅡ」から始まり、後半になると、「色つき円柱」「幾何たんす」「雑音筒」「味覚びん」等を経験します。さらに4才になれば、「構成三角形」「色つき円柱Ⅱ」「重量板」「幾何たんすⅡ」等、結構難しいものになっていきます。

③「数教育」…「算数棒」とか「数字カード」「色ビーズ並べ」から数の世界に入っていき、「10進法」「銀行ゲーム」「1000の鎖」と進みます。そして「加減乗除」「暗算版」を理解し、数を抽象的にとらえるようになっていきます。

④「言語教育」…話しことばの「絵カード」や「ことばあそび」から始まり、「文字や単語ならべ」「なぞり文字」へと進み、最後は短い文章を書いたり文法的な理解も深めていきます。

⑤「文化教育」…4才になり知的能力が高まり知的欲求が深まってくると、社会や環境に対する興味を満足させなければなりません。「地球の紹介」から始まって、動植物、地図、宇宙、恐竜、時間、動物の進化等、幅広い分野にわたって展開されていきます。

このように、教具の系統性をたどるなかで、子どもには、筋みちをたてて考えを進めていく「論理的思考能力」や、目には見えないもの、直接さわることのできないものに思いをめぐらせる「抽象的思考能力」が養われていきます。このことが、永い人生を生きていくうえでどれ程役に立つかは、言うまでもないことでしょう。

理事長 江口 浩三郎より

「ひたむきに歩き続ける子どもたち」


明けましておめでとうございます。
昨年、一昨年と、世界中がコロナウィルスへの対応で神経をすり減らしましたが、今年こそは収束してくれることを、心より願うばかりです。よく「コロナ後の世界」という言葉を耳にしますが、子どもたちの世界には前も後ろもありません。新しい年になっても、どんなことにも全身でぶつかっていくことでしょう。そんな子どもたちとまたいっしょに過ごせるのが、私の最大の喜びです。
ところで、1年たったあとのおとなと子どもの違いは何かというと、身長、体重、頭の大きさの変化です。おとなは殆ど変わりはありませんが、子どもは年令ごとにグンと成長し、だからいつも制服や帽子や靴を合わせる必要があるのです。しかしここで大事なことは、見た目のちがいではなく内面(成長)の変化です。それも、8才頃までに人格の9割を創りあげてしまうという程の変化です。そのための歩みを止めたりゆるめたりするのは、子どもに対するおとなの犯罪とも言えるものです。そこで、順調な歩みを促すためのポイントを、いくつか考えてみました。

① 子どもの毎日は、「もっと上手になりたい」「もっと多くのことを知りたい」「面白いことをいつまでも続けたい」といった意欲に満ちあふれています。だから、全ての子どもを満足させられるような環境を、準備しなければなりません。征服従順能力への絶え間ない刺激を、与え続けてやるということです。
② 同時に、子どもの暮らす環境には、はっきりとわかりやすい秩序が組み込まれていなければなりません。「何をどうすればいいのか」「どんなことをしたらいけないのか」「この活動のルールはどうなっているのか」等に、自分で気づいていくためのものです。多くの人といっしょに過ごす社会生活は、複雑でややこしくなる時もあるでしょうが、子どもの頃に身につけた秩序感は、ハードルをうまく乗り越えて進み続けるのに、必ず役立ってくれるはずです。
③ もうひとつ大事なポイントは、気づかずに子どもの歩みを止めたり邪魔をしたりしているおとなの態度です。子どもはまだ幼く、「何も知らない」「何もできない」と思って、つい「手出し」「口出し」したくなるものですが、それがオーバーになる危険性には充分気をつけておきましょう。子どもは決して、おとなのあやつり人形ではないのですから。
新しい年を迎えた子どもたちは、今年もひたすらに歩き続けます。時にはひとりで、また時には友だちと手をつなぎはしゃぎあいながら、前に進んでいきます。そしてうすい皮をはぐようにして、また新しい成長した姿を見せてくれるのです。私たちは道ばたに立って、手を振って応援してやりましょう。その後ろ姿を、温かい目で追い続けていきましょう。

理事長 江口 浩三郎より

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