「チャレンジこそ、子どもの生きがいである」
次から次へとやってくる台風のおかげで、何とも落ち着かない夏の終わりですが、暑さ続きの毎日をうまく乗り越えることができましたか。私にとっては、毎日プールから聞こえてくる子どもたちの大きな歓声が、何よりの元気づけとなっています。
せみの声から虫の声に変われば運動会の季節です。絶え間なく成長し続ける子どもたちの、力強いエネルギーがいっぱいの保育園ワールドを、大いに楽しんでいきましょう。
ところで運動会を見て、自分の子どもが「いつの間にあんな動きができるようになったんだろう」と、驚かれることがあるかも知れません。全くそのとおりですが、子どもがその姿を見せるまでには、どれほどの時間とエネルギーを費やしたかを知れば、もっと驚かされることでしょう。それほど子どもはチャレンジ精神のかたまりですが、その理由をいくつか挙げてみます。
- まず最初は、自発的発達能力です。
- 子どもは誰でも生まれつき自分の意思で、また自分の持っている能力で前向きに進もうとする積極性があります。立ち止まることは「自己否定」につながるので、前進するための無限のエネルギーが湧いてくるのです。
- また子どもには、繰り返して同じ活動をするという特徴もあります。余計な雑念もなく取り組みますので集中力も高まり、良い結果がどんどん出てきます。
- 良い結果を出した時に味わう「達成感」「成功感」は、自分がひとつ大きな人間になったような気分にさせ、そこから「もうひとつ」という活動が始まります。
こんな子どもの前向きな心を見逃すことなく、私たちはさらにかきたててやる環境を準備してやらなければなりません。幸いなことに、子どもが毎日取り組むモンテッソーリ教具は、「やさしいものから難しいものへ」「具体的なものから抽象的なものへ」と進むべき順序がはっきりしています。また園庭の遊具も、低い鉄棒から高い鉄棒へ、三段のとび箱から五段のとび箱へと進んでいきます。
モンテッソーリは、「子どもはまだ自分の手はとどかないが、気持ちがとどきそうなところに挑戦を続ける」と言っていますが、「うんてい」や「山小屋」に挑み続ける姿にぴったりのことばです。単なるテクニックの習得ではなく、人格の創造が子どもの活動の目的ですから、毎日のチャレンジがまさに「半端ない」のももっともだとうなずけますね。
理事長 江口 浩三郎より