「楽しくなくては保育園ではない」
ようやく暑さもやわらぎ、秋の気配がただよってきました。毎日、一生懸命運動会の練習に取り組んでいる子どもたちのためにも、この涼しさは何よりです。
しかしこの夏は、スポーツでも熱くなりました。アジア大会・テニス・バドミントンなどでの若い選手の態度は、感動でいっぱいです。以前の、外国に行ったらひ弱になるという姿はどこにもありません。たくましく伸びて行く、日本の未来を感じさせられています。
ところで私たちは毎日、笑顔いっぱいで遊んだり、おだやかな表情でお仕事をしている子どもたちを見ていますが、それが表面だけでなく、心からのものであることを念じています。というのも、まだ人生のスタート台に立ったばかりで、置かれている立場がよく理解できず、「そもそも、なぜ自分は保育園という所にいるのだろう?」と思うかも知れません。暖かい家庭や家族と別れて、沢山の見知らぬ子どもたちの中に投げ込まれれば、気持ちが乱れるのも仕方ありません。その乱れをなくし、少しずつ気持ちを開かせながら、「いっぱい遊べる」「いっぱい学べる」「自分がどんどん大きくなっているのがわかる」、そして「保育園というのは楽しい所だ」と感じてもらいたいのです。
最初はどの子も手さぐりです。手さぐりしながら、ひとつずつ扉を開けていきます。しかしながら、扉の光が暗かったりどんよりしてたり汚れまくっていたら、とても一歩足を入れることはしないでしょう。しかし、決してそうはさせません。というのも、扉の先で待っている私たちはみんな、「子どもはえらい」「尊敬する」「勉強になる」という気持ちを持っているからです。そして「この子たちに最も良いものを準備してあげよう」と思っています。知性、情操、意思がバランスよく発展していくように、身体的能力が順調に伸びていくように、みんな仲よしの社会性がしっかりと身につくようにと、いつも考え実行しています。子どもたちからの信頼感・期待感がどんなものかは、笑顔や表情で判断します。だからいつも子どもの顔色が気になるのです。
「楽しくなければ人生ではない」と言いますが、同じように「楽しくなければ保育園ではありません」。園児の成長に全責任を負っている私たちですが、子どもたちの輪の中に入って、自分も楽しみながら責任を果たしていきたいと思っています。
理事長 江口 浩三郎より