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「自立してこそ自由になれる」

楽しみにしていた花火大会までも、中止せざるを得なかった梅雨もようやく明けて、セミの声が元気よくなりました。これから猛暑が続くと思えばいささかうんざりですが、農作物の順調な成長のためにも、我慢していきましょう。 

 子どもたちにとっては、何といっても毎日のプール遊びです。みんなで大きな声をあげながら水とたわむれていますが、いつの間にか泳げるようになるから大したものです。どんなことでも乗り越えていく子どもの姿にこそ、学ぶところがいっぱいありますね。

 ところでモンテッソーリ教育は、子どもたちがこの永い人生の道のりを、自分の意思を大切にして、自由な気持ちで歩いていくことを目的としています。「自己創造」「自己実現」「自己主張」を貫けることが、幸福な人生と考えるからです。しかしながらそのための前提として、まず自分自身が「自立」していなければいけません。そのために、子どもが毎日どんなトレーニングを積んでいるかを紹介しましょう。

 ①まず、モンテッソーリ教育における「日常生活の練習」です。毎日の生活の中で、少なくとも自分の身の回りのこと、他人との生活でうまくやっていけるためのことに必要なテクニックを、1才ぐらいの頃から練習していきます。自由に生きるための生活秩序を、この練習によっていつの間にか身につけていくのです。

 ② 次は「自己選択活動」の繰り返しです。子どもが何か自分のやりたいことを決め活動していく時、それは全て子ども自身の気持ちのあらわれです。先生は必要な助言や手助けはしますが、余計な口出しはしません。ですから、子どもは毎日の活動について、いつも自分で考えをめぐらせておく必要があります。その結果が、積極的な活動力や素晴らしいアイデアに結びついていくのです。

 ③ 多種多様な人間関係のなかで、自分がどんな人間であるかを理解しはじめ、「群衆のなかの個人」という意識が芽生えてきます。自分の気持ちに正直になるということは、裏を返せば孤独になれる勇気を持つことです。子どもは毎日、年令も性別も異なる多くの仲間のなかで、自分と他人との距離感のつかみ方を学んでいます。

 「人はパンのみにて生きるものにあらず」と、古代から自由を求めてきましたが、個人的にも実現するのは簡単なことではありません。やはり子どもの時から、自分の意思と体で実際の活動をしながら、「自立」と「自由」の感覚を身につけておくことが必要です。そのことを毎日実感しながら過ごしているからこそ、子どもたちはあんなに生き生きとした表情を見せるのでしょうね。

理事長 江口 浩三郎より

「どんな気持で子どもを大切にするのか」

いつものとおり、あじさいの大輪は咲き乱れていますが、今だに梅雨らしい雨が降らないのはどうしたことでしょう。ダムの底も見えてますので、水不足が心配ですね。

園庭では「体育サーキット」の練習も始まり、みどり組の目がさらに活き活きとしはじめました。チャレンジすることの楽しさと成功の喜びが、気持ちよく伝わってきます。たくさんの友だちといっぱい汗をかいたこの毎日は、心の中にいつまでも残り続けていくことでしょう。

ところでモンテッソーリ教育は、今の日本の教育スタイルからすれば、いささか風がわりだと見られています。しかしスタイルを語るより、先生と子どもの関係を論じれば、全くオーソドックスであると言えます。要するに、「子どもが幸せになれるのか」、また「正しい成長ができるのか」が大切だからです。そのためにモンテッソーリは、毎日子どもと接する先生の心がまえとして、次に述べるポイントを厳しく求めています。

  1. 「愛情」を持って接する

幼いもの、小さいものに愛の目を注ぐことはもちろんですが、ここではさらに、人間というものに強い興味を持つことが求められています。べったりとくっつくのではなく、一歩離れて冷静な目で、子どもというひとりの人間を客観視しなければ、本当の観察ができないからです。

  1. 「信頼」の気持を強く持つ
  2. 子どもの何をどう信頼するのでしょうか。それは、子どもは必ず、本来生まれつき自分の持っているものを見せてくれること。さらに、自分の成長に必要なことを選ぶ力があることを信じることです。子どもはまだ未熟でそんな能力がないと考える人には、モンテッソーリ教育を実践する資格はありません。
  3. 「忍耐心」を持つこと
  4. 今どんな活動に取り組むかは子ども自身が決めることであり、活動のスピードもそれぞれちがいます。ここではまさに、「忍耐づよく待つ」という姿勢が問われてくるのです。
  5. 「謙虚な姿勢」を持つ
  6. 確かにそのとおりではありますが、子どもの未熟さを前にして、おとなはゴーマンで尊大に振る舞いがちです。しかし、それでは子どもからの信頼は得られません。おとなも自分の未熟さを認め、子どもの姿から何かを学ばせてもらうという姿勢が大事なのです。

ここに挙げたポイントを身につけることは仲々難しいことですが、そのために努力し実行するからこそ、子どもたちから大きな信頼を受けることになるのです。また、こんな気持で子どもたちを見ていると、ひとりひとりが素晴らしい存在であることに気付かされます。幼児教育の醍醐味(だいごみ)はまさにここにありというわけです。

理事長 江口 浩三郎より

「お仕事は、こどもに何をもたらすか」

全国各地で30度を超えたというニュースを聞きながらいよいよ夏を迎えますが、まずは暑さにも負けない体力づくりを心がけましょう。子どもたちはと言えば、園庭におおいかぶさる木かげをうまく使って、活動に余念がありません。とび箱・鉄棒・山小屋・うんていと、いつもながらの見慣れた風景ですが、それだけに、どんな子どもも持っている「自発的成長力」を感じさせられます。私たちも、こんな子どもたちを横目に見ながら、夏を乗り切っていきましょう。

ところで子どもたちは、朝登園してひとしきり遊んだ後クラスに入り、数時間作業に取り組みます。この作業を英語のワークから訳して「お仕事」と呼んでいます。入園してから卒園まで、それこそ何年間もお仕事を続けることになるのです。この時期の子どもの成長にとって一番大切な活動ですが、具体的な影響についていくつか考えてみましょう。

① 誕生後6才ぐらいの間までに、次々とやってくる「敏感期」を満足させてくれます。「運動」「感覚」「言語」「算数」「文化」等の分野に、本能的に関心が向けられる時期ですが、そのための環境が準備され、心ゆくまで取り組めるからこそ満足感が得られるのです。

② 子どもが自分の頭で考えることができるための、「知性」が育ってきます。

知性のはたらきは物ごとを「分類する」ことから始まって、「集める」「比べる」「合わせる」「連続させる」「包む」と進んでいきますが、まさにお仕事の内容そのものです。これによって、「自分で考え判断する」という人間の基本的行動が身についてきます。

③ 抽象的な物ごとの考え方ができるようになります。

私たちおとなは、「数字」や「文字」を中心として、目に見えないもの、現に目の前にないものでも手がかりとして判断できる「抽象の世界」に生きています。これに反し子どもの世界は、具体物が中心となっています。毎日のお仕事は、この2つの世界を結びつけ、子どもを無理なく混乱させずに抽象の世界へ連れて行きます。だから小学校では、教科書を開いて学ぶことができるのです。

来る日も来る日も時間をかけてお仕事に取り組むうちに、子どもは自分のなかで何かが変わっていくのを感じます。その変化が、上質な品性を伴う人間性を形づくっているのです。表情を見て下さい。笑顔を見て下さい。お仕事からもたらされたパワーが、必ず私たちにも伝わってくと思いますよ。

理事長 江口 浩三郎より

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