「保育園を卒園するまでに」
動物園の梅の花も満開で、いよいよ春の季節となりました。ついこの前、新入園児の様子について書いたと思ったのに、何と月日のたつのが早いことでしょう。しかしたとえそうであっても、一日たりとも無駄にしないのが子どもたちです。保育園こそが自分の居場所と決めて、最高のパフォーマンスを見せてくれます。この1年間の笑顔が、きっとこれからの活動のエネルギーとなるのでしょう。私たちも笑顔のおすそ分けを、いっぱいもらっていきたいですね。
ところで、今ではすっかりエミール保育園になじんでいるみどり組も、卒園が間近になりました。どの子どもも自信にあふれ、地に足がついた行動を取っていますが、それは、入園以来卒園するこれまでの、毎日の行動の成果です。具体的には、何をさすのかを考えてみました。
① まず、友だちをはじめとする周りの人たちとの人間関係のつくり方です。まだ行動範囲の狭い子どもですが、その中で多くの人に囲まれ、もまれにもまれ続けます。そしていつの間にか自分と他人との親近感のつくり方や、距離のとり方を身につけてきたのです。
② 自分の意思で選ばざるを得ない生活のなかから、自主性、主体性が生まれ、自分に対する信頼感や独立心が育っていきます。多分、他人とは群れずに自分の力で生きていけるという人生感にもつながっていくことでしょう。
③ 小さな活動での達成感、成功感を数多く積み重ねてきたので、どんなことでもやればできるというチャレンジ精神も育ってきています。毎日子どもたちを見ていると、その根気強さにあきれかえります。あきることを知らず、疲れることを知らず、できるようにそしてもっとうまくなれるように夢中です。きっと自分の力で乗り越えられるような壁を作り、少しずつそれを高くしていっているのでしょう。
④ 自分のなかで秩序感を整え、規律や規則の意味を良く理解することにより、自己抑制力(セルフコントロール)を発揮することができます。緑ぐみの集団はいつも毅然としており、乱れることがありません。だから安心して見ていることができるのです。心と体の良いバランスの取り方のあらわれでしょうね。
さあとりあえず、この子どもたちの人格の土台部分はしっかりと出来上がりました。これからの長い人生での、大きな支えとなってくれるでしょう。そして、安心して遠い未来を託せる人たちに育ってくれることでしょう。
理事長 江口 浩三郎より