「成長のスピードを導くもの」
例年なら花火大会やキャンプなどで、夏の楽しみがいっぱいのこの頃ですが、今のところどうにもならないようですね。人類の長い歴史において戦火や災禍はつきものだと頭ではわかっていても、いざ直面してみると、毎日の行動が試されているようです。
それでも、子どもたちの元気のよい声と姿が救いです。プールから聞こえてくる歓声が、コロナを忘れさせてくれます。希望の光といったことばが、ぴったりとあてはまりますね。
ところで、保育園というのは不思議なところです。ひかり組や玄関ロビーでは、0才の子が亀さんみたいにハイハイで動きまわっている一方、年長クラスでは、みどり組さんが何やら難しそうなお仕事をしたり、園庭ではサッカーボールをバンバンけり合っています。たった5年か6年でのこのちがいは何なのでしょう。この成長のスピードは何から生まれるのでしょう。子どもたちの持っている特別な秘密をさぐっていきたいと思います。
① まず最初は「環境吸収能力」です。幼児期を過ぎた人間は、繰り返し学んだり記憶したりして環境をものにしていきますが、子どもはそのまま自分の中に吸い込んでしまうのです。1、2才の子が、いつの間にか話し言葉をマスターしているのが良い例です。
吸い込んだものは忘れてしまうことがないので、一生その子の人格の一部として残ります。ただ、悪い環境もそのまま吸収してしまうので、その点だけは気をつけていなければいけません。
② 次は「敏感期」です。これは幼児期のある一定の時期に、特定のことに興味を持ちそれを実行していくことです。たとえば1才から4才頃まで続く「運動の敏感期」では、絶え間なく動き続けることによって、自分の身体をどう動かせばいいのかを学んでいきます。「感覚」や「秩序」、「言語」「数」「文化」等いろいろな期間がありますが、私たちは、全ての敏感期を満足させられるような環境を準備してあげる必要があります。③ もうひとつは「自発性」です。子どもはすぐ、「私が、私が」「僕が僕が」と言ってやる気満々です。だからどんなことにも、時間や体力もおしまずチャレンジし続けるのです。だから、子どもの生活の全てにおいて、この自発性を伸ばす必要があるので、おとなの余計な「手出し」「口出し」は控えるようにしなければなりません。
こんなすごい特別な能力を、子どもはみんな生まれながらに持っているので、みるみるうちに成長し続けるのです。子育ての重要なポイントとして、いつも頭の中に入れておくようにしていきましょう。
理事長 江口 浩三郎より