「どんな気持で子どもを大切にするのか」
いつものとおり、あじさいの大輪は咲き乱れていますが、今だに梅雨らしい雨が降らないのはどうしたことでしょう。ダムの底も見えてますので、水不足が心配ですね。
園庭では「体育サーキット」の練習も始まり、みどり組の目がさらに活き活きとしはじめました。チャレンジすることの楽しさと成功の喜びが、気持ちよく伝わってきます。たくさんの友だちといっぱい汗をかいたこの毎日は、心の中にいつまでも残り続けていくことでしょう。
ところでモンテッソーリ教育は、今の日本の教育スタイルからすれば、いささか風がわりだと見られています。しかしスタイルを語るより、先生と子どもの関係を論じれば、全くオーソドックスであると言えます。要するに、「子どもが幸せになれるのか」、また「正しい成長ができるのか」が大切だからです。そのためにモンテッソーリは、毎日子どもと接する先生の心がまえとして、次に述べるポイントを厳しく求めています。
- 「愛情」を持って接する
幼いもの、小さいものに愛の目を注ぐことはもちろんですが、ここではさらに、人間というものに強い興味を持つことが求められています。べったりとくっつくのではなく、一歩離れて冷静な目で、子どもというひとりの人間を客観視しなければ、本当の観察ができないからです。
- 「信頼」の気持を強く持つ
- 子どもの何をどう信頼するのでしょうか。それは、子どもは必ず、本来生まれつき自分の持っているものを見せてくれること。さらに、自分の成長に必要なことを選ぶ力があることを信じることです。子どもはまだ未熟でそんな能力がないと考える人には、モンテッソーリ教育を実践する資格はありません。
- 「忍耐心」を持つこと
- 今どんな活動に取り組むかは子ども自身が決めることであり、活動のスピードもそれぞれちがいます。ここではまさに、「忍耐づよく待つ」という姿勢が問われてくるのです。
- 「謙虚な姿勢」を持つ
- 確かにそのとおりではありますが、子どもの未熟さを前にして、おとなはゴーマンで尊大に振る舞いがちです。しかし、それでは子どもからの信頼は得られません。おとなも自分の未熟さを認め、子どもの姿から何かを学ばせてもらうという姿勢が大事なのです。
ここに挙げたポイントを身につけることは仲々難しいことですが、そのために努力し実行するからこそ、子どもたちから大きな信頼を受けることになるのです。また、こんな気持で子どもたちを見ていると、ひとりひとりが素晴らしい存在であることに気付かされます。幼児教育の醍醐味(だいごみ)はまさにここにありというわけです。
理事長 江口 浩三郎より