「一生続く学びのサイクル」
桜がようやく、ちらほらと咲き始めました。モクレンも白い花でいっぱいです。またけやきの木の枝にも、かわいい若葉が芽を出しています。人間社会はコロナウィルスで大騒ぎですが、自然界はいつものとおり大にぎわいです。ここにまた、新しいお友だちが加わったらどうなるのでしょう。まさに、新しい生命のエネルギーであふれかえることでしょう。
さあ新学期の始まりです。子どもたちの毎日の成長を、心ゆくまで楽しんでいきます。
ところで、人間は生きている限り、自分の居る場所や経験から学び続けていきますが、良い学び方をし良い結果を出すための基本的サイクル活動は、子どもの頃に実体験をしておく必要があります。そのサイクルは、次のような順序で展開されていきます。
① ひとりひとりの発達程度に見合った環境が準備されており、タイムリーにそれに出会う。「ひとりひとり」と「タイムリー」がポイントで、そのためには、おとなの鋭い観察力が求められます。
② 環境から、自分の興味・関心があるものを選択し、繰り返し活動し集中していく。まわりから強制されない自由な活動は、「自発性」を満足させ促していきます。
③ 活動のなかで、成功したり失敗したりあれこれ工夫するなかで、「意思力」が形づくられていく。前に進むだけではなく、時には耐え忍んだり、時には譲歩したり、また中止したりと、さまざまな気持の動かし方を学んでいきます。
④ 自分の身体を、自分で思ったとおりに動かせるようになる。活動は運動を伴います。困難に向かい細部にも気をめぐらせているうちに、意思の命令どおりに動く体が作られていきます。
⑤ 自分のペースで物事を運んでいくことを身につけ、どんな環境にもうまく適応できるようになる。他人に左右されない自分独自の判断力があれば、環境の変化があっても、ある程度安心して対応していくことができます。
⑥ いろんなちがった人たちとの生活のなかで、豊かな社会性が身についてくる。それまで自分中心であったのが、少しずつ他の人間が見えはじめ、そのつながりのなかで、自分の態度や行動、そして性格までが形づくられていきます。
⑦ 自信にあふれ落ち着きが出て、素直で従順な自分を発見することができる。まさに、自分が良い人間として変わったことを実感する時です。
人は誰でも、素晴らしい人間に成長する可能性を秘めています。しかし、何の学びや努力なしには実現しないものなので、やはり子どもの頃から、このサイクルをしっかり体験させてやりたいものです。
理事長 江口 浩三郎より