「子どもは動かなければ成長しない」
新型コロナウィルス禍も、九州ではようやく下火になってきましたが、なんとかこのまま収まって欲しいものですね。園でも、毎日多くの子どもたちが、群れになって遊んでいるのを見て心配しましたが、今のところ乗り越えそうな気配です。運動会も、形は縮小しながらもやってみようと、準備を進めています。
秋のひととき、子どもたちの元気な姿を、しっかりと目に焼き付けて下さい。
ところでモンテッソーリ教育は、またの名を「運動の教育」とも呼ばれています。というのも、モンテッソーリが「子どもの身体を休ませない」ことを強調しているからです。その理由は、子どもはまだまだ抽象的理解能力が弱く、実際に自分の身体の動きをとおして環境と接することで、いろいろなことを学んでいくからです。ただ、やみくもに動かせばいいというものではなく、良い成長へ導く動きのポイントを、いくつか紹介しましょう。
① まず、「手」や「指」を使う動作を、どんどん行っていくことです。これは、脳の発達に大きく影響してきます。というのも、人間の指先には細かい神経が2万本以上も集中しており、感触の全てが、脳神経へ直接大きな影響を及ぼしていくからです。子どもの脳は、3才までに6割、8才までに9割成長しますが、その成果の大部分は手や指の動きにかかっています。
② どうせ動くのなら、どんな動き方をしたらよいのかを、自分の頭で考えながら実行させていきます。これを「行動の意識化」といいます。動き方を指導する時は、「ちゃんと」とか「しっかりと」といったあいまいな言葉を使わずに、身体のどの部分をどう動かすのかと、わかりやすく言います。考えながら動くトレーニングを続けることによって、自分の思いどおりに筋肉を動かせる能力が高まっていくのです。
③ バランスがうまくとれるような動きを身につけていく。
四本足の動物とちがって二本足で歩く人間は、バランスの取り方が難しいものです。また、足が短く頭でっかちの子どもにとっては、なおさらのことです。だから上手に歩く練習などを含めて、うまくバランスが取れるようになる動きを繰り返す必要があります。
以上いくつかのポイントを述べてきましたが、身体の動きと心の正常な発達は密接な関係があります。あっという間に成長する子どもたちの、今のこの時を見逃さずに、適切な運動の方向へと導いていきたいと考えています。
理事長 江口 浩三郎より